13.ネット検索が上手すぎて重症患者が急増?
2018年10月14日
最近の相談には、本当に関心するぐらい資金調達が上手い社長さんを良く見かけるようになりました。
良くもこれだけ借りたなぁ~と言う感じです。
ただ、財務内容や銀行戦略を考えて借りる訳ではなく、貸してくれる所から手当たり次第に借りている場合が殆どで何の戦略もありませんから、直ぐに借りられなくなってしまいます。
例えば、年商3500万円程度の規模で、800万円程度の借入があり1600万円の債務超過の会社であるにも係わらず、500万円を借入、更に300万円を借入、それでも足らずにノンバンクのビジネスローンを200万円借入れたそうです。
通常、この規模で1600万円の債務超過があれば、金融機関から500万円と300万円の合計800万円の融資を受けるのは難しいと言えます。
それでもここまでなら良かったのですが、売掛金をファクタリングで売ってしまったとの事で、月利20%と言う高利で3ヶ月も売り続けており抜け出せないとの事でした。
ひと昔前ならファクタリングと言いますのは、売掛債権の流動化と言いまして大企業の手法でした。
今はネットで検索すれば、色々な資金調達手段が出てきますので、良く知らないまま借りて立ち直れない状態で相談に来る方が増えてきました。
ファクタリングで月利20%と言ったら年利240%です。
これは明らかに闇金がファクタリングを隠れ蓑にして営業しているやつです。
ファクタリングは中小企業にとって最悪の資金調達方法です。
来月分の売掛金を売って今月に現金化すれば、来月の入金がありませんから次の月の売掛金も売らざるを得なくなり、抜け出せなくなるのです。
これを1年間続ければ、売上の20%が闇金の手数料に取られる訳ですから、黒字になる訳がありません。
ある程度の規模がある会社であれば、金利の安いノンバンクのファクタリングで救済してもらう事もできます。
そうしますと、月利20%が2%程度に軽減されます。
月利2%と言えども年利24%ですから、緊急避難に過ぎません。
更に、ABLで売掛金の3ヶ月分ぐらいを借りてファクタリングから抜出す必要があります。
それから、債務超過分1600万円の改善を行いながら、事業改善計画書を書いて借換保証を使って10年返済に借り換えると共に新規融資を申し込むと言う手順になると思います。
しかしながら、一定の規模がないと闇金のファクタリングから抜け出せないのが現実です。
月利2%程度の低利でのファクタリングには、最低でも500万円位以上からしか取り扱ってくれません。
ですから、最低でも年商6000万円以上の規模にないと月の売掛金が500万円以上になる事はありません。
つまり、零細企業であればあるほど利用できる調達方法は少なくなりますので、早めに相談する事が重要です。
企業規模が大きければ大きい程、多くの手段が取れますので、助かる確率は高いと言えます。
これは、小さな子供が熱を出した時に、大人と同じ感覚で市販の風邪薬でも飲んで様子を見ておこうと素人考えで治療して間違っていても体力のある大人であれば助かるが、体力のない子供は助からないのに似ています。
小さな子供ほど早く病院に連れて行かなければならないのと零細企業の場合は同じなのです。
ネットで検索して素人考えでプロが使うような劇薬に手を出してしまうと本当に取り返しの付かない事になります。