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8.中小企業が買収資金をLBOで調達できるのか?

2018年7月8日

LBO(レバレッジドバイアウト)とは、買収企業の資産や将来得る事の出来るキャッシュフローを担保に買収資金を調達して買収する方法です。
この言葉だけが独り歩きして、資金が無くても簡単に買収資金が借りられると思っている方から良く相談されます。
銀行にLBO資金を借りたいと申し込んだら断られたがどうすれば借りられるのかと言う相談です。
まず、LBOの意味を理解する必要があります。
買収企業の資産や将来得る事の出来るキャッシュフロー(フリーキャッシュフロー)を担保に買収資金の融資を受けて買収する事と書いてあります。
それであれば、それらの本当の価値を金融機関に証明して、担保査定できるようにしなければなりません。
買収先が中小企業であれば土地や会員権などの資産は帳簿価格であり、現在売却すればいくらになるのかと言う時価でなければ本当の担保価値は算定できません。
それだけではありません。
決算書に掲載されている買収先の資産は本当に存在するのかどうかも確かめなければなりません。
つまり資産一つ一つをチェックして、それぞれの資産の本当の価値を確認しなければ、担保価値も決められないのです。

更にフリーキャッシュフローから企業価値を算出する方法をDCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)と言い、素人には難しい計算ですが、M&Aに於ける企業価値を示す指標の一つになります。
これも将来得るキャッシュフローの現在価値を金融機関に示し、担保価値を算定してもらうのに必要になります。
これらの作業は一体いくら掛かって誰が行うのでしょうか?
これらの作業は素人には無理ですし、そもそも買収する側が自ら査定したのでは借りたいために高めに査定しかねないと金融機関サイドが信頼してくれません。
ですから、金融機関サイドも納得する実績を持つ外部の専門家に頼むしかありません。
これをデューデリジェンス(デューデリ)と言い1500万円~3000万円程度掛かります。
これだけ掛かる費用を僅かな金利しか稼げない金融機関が持つはずもありませんので、買収側が持つしかありません。
ですから、LBOはある一定の規模の会社の買収でしか使われないのです。
デューデリに数千万円の費用を掛けた結果、簿外債務や違法営業や労働基準法違反等が発覚して買収を断念せざるを得ないケースも時々見かけます。
買収側は少々の事は目をつむったとしても、金融機関の融資が下りないからです。
そうなるとデューデリ費用分だけの損失が出てしまいます。
ですから、中小企業のM&Aの資金調達手段としては、あまり現実的ではありません。
中小企業には中小企業向けの現実的な買収資金調達方法があるのです。
それは、買収側の財務内容や売却側の財務内容は勿論の事、売却側の希望事項によっても調達方法が違う場合がありますので、専門家に個別に相談するのが良いでしょう。

 

 

 

 

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