129.有価証券を持っていると融資が受けられない?
2021年5月6日
ここ最近、株式市場が活気づいており、今年の2月には日経平均が3万円台を回復しました。
これは30年振りですから、久々に好調な市況であったと言えるでしょう。
そこへ、コロナ融資でキャッシュが余っている会社の社長さんが株式投資を始めてしまいました。
会社で直接株式を買った人も、会社からお金を借りて社長個人で株式投資をした人も金融機関の見方は厳しいことになる場合が多いと言えます。
投資金額にもよりますが、自己資金の範囲を超えて借入金まで注ぎ込めば、まず資金使途違反を問われます。
仮に資金使途違反でなくとも、事業ではなく株式投資に資金を投入する経営者を金融機関は嫌います。
昔、一部上場会社のサンリオの社長が株式投資は正当な経営手法と豪語しておりましたが、金融機関からそっぽを向かれたのは有名な話です。
金融機関からすれば、事業で儲けたお金も借りたお金も事業に使って、事業の拡大を優先して欲しいと言う事なのです。
株式投資で損失を出してしまい、折角本業で利益を出したのに事業のための運転資金が足りなくなってしまって、金融機関に融資を申し込んだら貸してくれるのでしょうか?
まず、貸してくれません。
過去に株式投資を止めると言う誓約書を提出して、日本政策金融公庫さんから何とか500万円だけ貸してもらえたと言うこともありました。
これまでお話ししました株式投資とは、仕事に直接関係しない上場株式の売買の事です。
勿論、持っていても問題にならない株式もあります。
それは、子会社などの関連会社の株式や取引先との関係強化のために引き受けた株式等です。
ですから、金融機関は上場株式に投資する資金は貸しませんが、M&Aで買収する株式の購入代金は貸してくれる訳です。
つまり、同じ株式でも事業に関連しているものであれば認められますが、単純なマネーゲームのような投資を行うような会社には融資しないと言う事になります。
過去に、会社からお金を借りて社長個人が株式投資を行ってしまい、大きな損失を出してしまい売って解消しようにもできない場合はどうすれば良いのでしょうかと言う相談を受けた事があります。
つまり、社長に貸したお金の使い道を詮索され、株式投資と正直に答えたら融資が受けられなくなったのです。
更に、売って会社に返済しようにも大きな損失を抱えており、売るに売れない状態を持株会社を使って全額返済して解決した事もありました。
何れにしましても株式市場が魅力的であってもコロナ融資分を株式投資に回す事は止めた方が良いでしょう。