127.メインバンクはどのようにして決まるのか?
2021年4月16日
少し前の西武信金さんは当行がメインバンクを務めているお客さまは、絶対に倒産させないと言っていたほど、頼もしい金融機関でした。
今は理事長が代わり、そこまでは言っていませんが、それでもそのような風潮は残っていると思います。
昔ほどではありませんが、今の時代でも業績が悪くなった時にはメインバンクがあるのか無いのかでは、事業再生に大きな影響を与えます。
では、そのメインバンクは、どのようにして造るのでしょうか?
一般的には、一番借入額の多い金融機関がメインバンクと言う位置付けになります。
しかしながら、貸している金融機関自身がメインバンクであると言う意識がなければ、困った時に支援は受けられません。
つまり、お互いに自覚が必要なのです。
まず、物理的には一番多く借りていると言うだけではなく、その融資にどれだけのリスクを取っているかも関係します。
例えば、A行から保証協会付融資で3000万円、プロパーで2000万円、合計5000万円借入ているとします。
一方で、B行からはコロナ融資で6000万円を借りたとします。
この場合、B行がメインバンクにはなりません。
何故ならば、コロナ融資のように100%保証の融資はどの金融機関もリスクが無いので喜んで貸したい融資だからです。
それに比べてA行は保証協会80%で3000万円ですから、まず20%の600万円のリスクを取っていますし、プロパーの2000万円は100%のリスクを取っています。
つまり、A行は5000万円の融資の内、2600万円のリスクを取って貸してくれている事になります。
この状態で、倒産されたら困るのは金額の多いB行ではなく、リスクを取っているA行の方です。
ですから、助ける意味があるのはA行の方になり、いくらB行に助けを求めても被害の無いB行は、危ない企業を助ける経済的合理性は無い訳です。
金融機関側も100%リスクを取って貸したプロパーの融資先の中で、自行の融資比率が他行に比べて最も高ければ、メインバンクであると意識し始めます。
しかしながら、売上の入金や積立や給料の振込口座などを融資比率の低い方で行っているとメインバンク扱いされていないと思う事もあります。
また、資金需要が発生したら、真っ先にメインバンクに相談し、金利以外の条件が折り合わなかったり融資自体を断られて、初めて他行へお願いするなど、メインバンクと考えている事を普段からアピールしておくことも重要です。