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103.売上の上げ方で赤字も増える不思議?

2020年9月18日

事業歴の浅い急成長しているIT系企業や製造業などに見られる現象で、売上を上げれば上げるほど赤字が増える会社があります。
例えば、年商1億円が翌年には2億円に、更に3年目には3.5億円、4年目には5億円と急成長しているのですが、営業利益は3年目には2000万円の赤字、4年目には5000万円の赤字なのです。
このケースは、自社製品を開発製造し販売する会社ではなく、下請けとして大きな上場会社のような得意先から仕事を受ける会社に多いと言えます。
何故ならば、上場会社のような大会社は予算管理が出来ており、年間の発注枠を下請けに打診するケースが多く、経営に慣れていない経営者が前向きになり過ぎて能力以上の発注を受けてしまう事が主な原因です。
上場会社は確かに年間の予算管理を行っておりますので、年間の発注計画を下請けに知らせて受注準備をさせようとしますが、計画は計画であり上場会社は四半期毎に見直しが入りますので、発注量は増えたり減ったりする事は頭に入れて経営しなければなりません。
それ以前に、能力以上の受注を受けてしまい、IT系なら技術者を大量に雇ったり、製造系なら設備を増やしたりしてしまう事が赤字の原因に繋がってしまうのです。
新たな技術者や設備を、既存の技術者や設備と導入の翌日から同じ効率で働かせる事は難しいので、どうしても効率の悪い状態で経営を行わざる得ません。
そのことを考えず、翌年も欲張った発注を受け、昨年入れた技術者や設備の効率を上げる事を放置して、更なる技術者や設備を増やしてしまうのです。
このようなやり方に耐えるには十分な資金が必要です。
しかしながら、赤字ですからこれ以上借りられないと言う状況に直ぐに陥ってしまいます。
それでも成長を優先すれば、資金ショートして倒産もあり得ます。
本来なら、利益を出して調達額を増やせるようにして、その範囲で成長して行くのが基本です。
そもそも赤字であれば、融資を受けられるとしても制度融資の範囲内であり、銀行のプロパー資金はでません。
ですから、スロースターターでも黒字化して進む方が後半で大きな金額を調達できるようになり、結局は大きく成長できる事になります。
それに経営者の方が勘違いされているのは、自社商品のヒットと下請け仕事の大量受注の違いです。
自社商品のヒットは、先方からの注文を受けるか断るかは自社で決める事ができる訳ですので、売上のコントロールは自社で出来ることになります。
しかしながら、下請けの受注は発注先の意志で増えたり減ったりして、自社に売上の決定権がないのです。
そのあたりも考えながら投資計画を練り、資金調達計画と連動しながら、経営する必要があるのです。


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