76.キャッシュフローが融資を呼び寄せる?
2020年2月8日
中小企業の多くの経営者は、現預金が少なくなってから銀行に融資を申し込みます。
お金がないから借りるのであって、あれば借りる必要がないのが常識だと思っています。
しかしながら、それは借りる側の一方的な論理であり、世の中はそんな単純に出来てはいません。
銀行からすれば現預金が少ない会社に融資する事はリスクがあると考えます。
何故ならば、返済原資になる現預金が少なく、今後のビジネスで発生する利益と言う不確定な返済原資をあてにしなければならないからです。
現預金が100万円しか残っていない会社に1000万円貸して数か月すると、運転資金に使って手持ち資金は1000万円を切っているでしょう。
そこで粉飾や転貸などが発覚して一括返済を求めても返済できません。
ところが現預金5000万円持っている会社に1000万円を貸せば何時でも返済する事ができます。
つまり銀行からすれば、現預金が多い会社ほど、安全な貸出先になる訳です。
ですから、現預金がギリギリになってから融資を申し込むのは不利だと言わざるを得ません。
それで、現預金を月商の3ヶ月分以上持つ事を推奨しております。
特に最近、弊社のクライアント様の多くに融資の売込みが頻繁に来ています。
何故なら、殆どのクライアント様が月商の3ヶ月分以上の現預金を持っているからです。
年商1億数千万円のA社とB社は、両社とも現預金が5000万円以上あり、全く借りる必要がありません。
そこへ、A社には新たな金融機関からプロパーで1000万円、B社にも新たな金融機関からプロパーで3000万円の融資の提案がありました。
しかもA社は、2期連続赤字です。
B社は、成長路線を歩む方針を固めたために資本強化した事も功を奏したと言えるでしょう。
勿論、融資の審査には色々な要素がありますが、現預金が多い事は大きな利点になる事は間違いありません。
ですから、手持ち資金が数百万円を切ってから融資を申し込むのと、5000万円が4000万円に減った時点で補充として1000万円借りるのでは、どちらが簡単なのか解ると思います。
更に言えば、業績が落ちて仮に融資を止められられて困るのはどちらでしょう。
手持ち資金が数百万円で、融資を却下されると直ぐに倒産の危機が迫って来ます。
しかしながら、4000万円残っている内に断られても、再生資金が十分にありますので、簡単には倒産しません。
では、どうすれば月商の3ヶ月分のキャッシュフローが持てるのでしょうか?
これこそが、税理士事務所の経理ではサポートしていない財務戦略なのです。