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74.マニュアル廃止で融資姿勢はどう変わる?

2020年1月26日

昨年の12月に金融検査マニュアルが廃止されました。
元々、金融検査マニュアルはバブル崩壊による不良債権処理が適切に行われているかどうかをチェックするのが、主な目的でした。
平成14年3月に43.2兆円もあった不良債権が平成30年3月には7.7兆円まで減って来ましたので、これ以上金融検査マニュアルの運用を厳格化する必要は無く、新たな金融課題に取り組む必要があると判断されたと言う事だと思います。
金融検査と言えば、テレビドラマで大ヒットした半沢直樹で、金融庁検査が金融機関に取ってどれだけ怖いものか物語っていたと思います。
この金融庁検査マニュアルに沿って厳しく精査されていた訳ですから、どの金融機関も似たり寄ったりの経営方針に成らざるを得なかった訳です。
それが昨年の12月に廃止された訳ですから、当面は踏襲するとしても徐々に変化して行くのではないかと思います。
今後は各種金融機関で、自らの判断で引当金を積めるようになりますので体力のある金融機関とそうでない金融機関の対応に差が出て来るでしょう。
例えば、体力のある金融機関であれば、不良債権になるかもしれない貸出先に早めに引当金を積んで安全性を確保しながらも引当金を積んだからと言って必ずしも格付けを下げなければならない訳ではありませんので、引当金を積んだ上で融資もできる事になります。
つまり金融検査マニュアルのルールに縛られず、金融機関の独自の判断で支援したいと思えば体力さえあればできる事になるのではないでしょうか。
今まであれば、引当金を積んだら格付けも下げなければならないので、支援したくとも融資ができないルールになっていた訳です。
それを守らずに勝手に融資すれば、金融検査マニュアルに触れ金融庁の検査で怒られる事になっていた訳で、それから解放されたと言う事になります。
しかしながら、体力の無い金融機関に取っては支援したくともできませんから、体力のある金融機関と差がつく事になり兼ねません。
更に金融庁では、融資について、担保・保証に頼らず、将来のキャシュフローに基づく返済可能性にも着目して金融仲介機能を発揮しようとする金融機関の取組を妨げないとしています。
つまり、体力のある金融機関は無担保融資を強化できるが、体力のない金融機関は相変わらず担保がないと融資ができないと言う差が出てくる可能性が高いでしょう。
今でもそうですが、どの金融機関を選ぶかによって中小企業の運命は変わりますが、今後ますます金融機関の選び方が重要になるでしょう。
付合う金融機関によっては倒産したり、強力な支援を受けて大きく成長したりと、金融機関の選択で企業の運命も大きく変わってくるケースが増えるでしょう。

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