72.金融機関のコンサル機能は有効か?
2020年1月10日
金融庁から金融機関に対して、新たな金融のあり方や役割について、いくつかのリクエストが出ています。
その中の一つにコンサルティング機能があります。
どのような事かを簡単に言いますと「 債務者の経営課題を把握・分析した上で、適切な助言などにより債務者自身の課題認識を深めつつ主体的な取組みを促し、同時に最適なソリューションを提案・実行する。」と言うものです。
これは、コンサルティング会社と同じレベルの仕事ですね。
今の銀行さんは忙しく融資先開拓は勿論のこと、債権や保険や不動産の斡旋などの手数料稼ぎもある中で、専業で行っているコンサルティング会社と同等なサービスができるのでしょうか?
それにそもそも金融機関と顧客の間には利害関係が反する部分があり、中々正直に悪い部分までさらけ出すと言う事ができにくい関係であります。
しかしながら、事業再生に於ける肝心な部分は、悪い部分も含めて実態を把握する事ができなければ成果を出すのは難しいと言えます。
その難しいコンサルティング機能以前に、もう一つ金融庁から求められているのが、事業性評価融資です。
簡単に言いますと担保に頼らず企業の事業性を評価して融資をして下さいとの実に難しい宿題も出されており、これが中々進んでいないのが銀行業界の実情なのです。
銀行に取ってコンサルティングよりも融資の方が得意なハズなのですが、事業性評価と付くだけで、こんなに進まないほど難しくなるのです。
ましてメインの事業としてやった事のないコンサルティングが、そんな簡単にできる訳がありません。
相談に来られた方から聞いた話ですが、銀行にコンサルティングをやってもらえば絶対に貸してくれると思って相談に行ったが断られたと言う方がいました。
また、コンサルティングを頼んだら、専門家を紹介されて銀行が直接コンサルティングをしてくれなかったと言う方もいました。
真面目に取り組まれている銀行もあるとは思いますが、物理的に専門のコンサルティング会社と同じだけの時間を取る事は不可能でしょう。