32.粉飾はどのように解消すれば良いのか?
2019年3月23日
粉飾の多くは、赤字を黒字にして融資を受けられるようにすると言うものです。
税理士事務所が関わっている場合は、帳票だけ見ても中々分からない事があります。
税理士事務所がある程度協力してくれるのは、黒字化は税務署から怒られないからです。
逆に脱税の粉飾は、まずやりません。
勿論、黒字化の調整と言えども、やり過ぎは金融機関から詐欺で訴えられ兼ねませんので、どこまでも調整してくれる訳ではありません。
税理士事務所から、これ以上はと言われた時は遅すぎると言えます。
粉飾決算を金融機関に正直に話すタイミングは非常に難しいと言えます。
ソフトランディングが良い場合もありますし、正直に告白しても良いケースもあります。
正直に告白されても金融機関側も困る場合があるからです。
正常先として多額のプロパー融資を出していた先が、いきなり大幅な債務超過でしたと急に言われても、審査担当者の責任だけではなく支店の管理責任まで問われかねません。
ですから、多くの場合にはソフトランディングになりますが、それを実現するためには、いつも正しい数字を把握しながら、経営を行って行く必要がありますので、経理機能の強化が必要です。
最低でも自計化(会計ソフトに自社内で入力)が必要で、伝票を税理士事務所に丸投げしているような意識レベルでは、粉飾から抜出す事は難しいでしょう。
遊休資産があれば売却したり増資を行ったりして、粉飾分を少しでも減らした後は、正しい数字を見ながら出来るだけ利益を出して行く事しかありません。
粉飾を告白しやすい場面は、やはり正常に戻すと純資産2000万円が債務超過1000万円になってしまうようなケースで、不動産の売却益で3000万円計上できるとか、大きなスポット取引で3000万円の利益がでると言う時は、ある意味チャンスだと言えます。
そのようなチャンスがあっても普段から財務に興味がなければ見逃してしまいます。
更に、そのようなチャンスが無い方の方が多い訳で、資金が回らずにリスケジュールをお願いしなければならない時や更新時に、経営改善計画書の提出を求められる場合があります。
経営改善計画は、今は業績が悪くお金が無いので、将来このように回復して行きますので元金の返済はもうしばらくご猶予下さいと言う内容になります。
その時に、今までの黒字の決算なのに何故現金が無いのかと言う矛盾が出てくる場合に説明が付かないケースでは、告白をせざるを得ないと言う場合があります。
このようなケースでは、金融機関も協力的にはなりませんので、自力回復が基本になります。
足りなければ借りると言う考えから、借りない経営へとマインドチェンジしなければなりません。