18.個人資産を大幅に増やして資本政策を?
2018年11月16日
中小企業を経営していると、いつまでも右肩上がりに成長して行くと言う事は中々ありません。
時にはどんなに頑張っても不況などの環境に押し流されそうになる時もあります。
日本の中小企業は、そんな変化に弱いと言えます。
何故ならば、資本政策と言う事を殆どの経営者が考えていないからです。
経営者の方なら債務超過と言う言葉を聞いた事があると思います。
債務超過とは資本金を使い果たし、更に借金して赤字を出して純資産がマイナスになった状態の事を言います。
この債務超過に陥ると基本的に金融機関は融資をしてくれません。
良く創業の相談でお金が無いので資本金1円で会社を設立したと言う方から融資の相談を受ける事があります。
この会社は100円のボールペン1本買ったら、もう債務超過です。
ですから、資本金の少ない会社は簡単に債務超過に陥りやすく、融資も受けられなくなるのです。
これが資本金5000万円の会社ならどうでしょう。
年間500万円の赤字を出しても10年間も債務超過になりません。
それであれば、資金調達を行い挽回するチャンスもある訳です。
日本の経営者は、最初に資本金を出したら増資を中々行いません。
つまり、いつまでに資本金をいくらにすると言う資本政策を考えていません。
前述の資本金1円の会社と5000万円の会社の違いが分かれば、どちらが社会の荒波に耐えられるかぐらいはお解りになると思います。
それでも増資を躊躇される大きな原因は、個人資産に余裕が無いからです。
つまり、資本政策を実行するためには、増資を引き受けられる個人資産から作る必要があると言う事なのです。
効率的に個人資産を増やす事も考えなければならないのです。
例えば、会社に余裕資金が1億円あったとします。
これを個人資産に回すためには、役員報酬と考える人が最も多いと思いますが税金が約50%程かかりますので、結局手取りは半分の5000万円になってしまいます。
それ以前に、それだけの役員報酬を取ると赤字になってしまうのではないでしょうか?
それでは、別会社の1億円分の株式を売却すればどうでしょうか?
色々ありますが、簡単に言えば税金は20%で手取りは約8000万円です。
これならば、資本取引で経費ではありませんから赤字にもなりません。
単純に現金と株式を交換しただけです。
一体その別会社とは何なのかとお思いだと思います。
それは、既存の本体に相当する会社の成長過程で色々な新たな機能が必要になったり強化する必要になった時にどのような手法を取るかを考える必要があると言う事なのです。
例えば、今まで営業マンが販売をしてきた会社が、そろそろネット販売も行いたいと考えたとします。
そのような時、社長個人が出資してネット販売専用の会社を設立するとします。
当然、売れた商品は本体の会社が準備して出荷します。
ネット販売だけに特化した会社ですが、正に今はネット社会でこれが軌道に乗ったとします。
この会社を本体の会社に1億円で売却するとすれば、先ほどの理屈が成り立つ訳です。
役員報酬なら5000万円が株式の売却なら8000万円の手取りです。
個人資産が増えれば増資もできますし、M&Aで有望な会社を個人で買う事もできます。
買った会社を成長させて、M&Aで他社に売却しても良いですし、持株会社を作って自社グループに留めながら、個人で株式の売却益を得ても構いません。
資本政策を考えると言うだけで、ここまで飛躍して考えることができるのが財務です。
本当の財務の力を持てば、会社には返済しなくても良い借入が可能になり、個人資産も何億であっても低税率で効率良く増やす事ができるのです。