134.残金の無い口座を差し押さえる意味は?
2021年7月10日
売掛金を差し押さえるには、それなりの覚悟が必要です。
取引先の顧客の売掛金を差し押さえるわけですから、それ以降の取引ができなくなり倒産へ追い込む可能性があるからです。
そうなりますと債権先の社長が飛んで来て、分割で支払うので差押えを解除して欲しいと頼まれます。
しかしながら、それに応じてしまうと結局は差押えされた顧客の信用を失い倒産されて全額回収できないと言う事になるケースが多いと言えます。
ですから、売掛金を差し押さえた場合には、情に流されず回収するしかありません。
つまり、売掛金を差し押さえる場合には、それだけの覚悟が必要です。
相手を直ぐに倒産に追い込むつもりが無いと言う場合には、取引金融機関の口座を差し押さえる手があります。
決算書を手に入れていれば、どの金融機関に幾らの借入があり、どこがメインバンクでどこがサブメインなのかと言う想像が付きますので、比較的借入の少ない金融機関から差し押さえるなどの相手を直ぐに倒産させない差押えを選択することができます。
どの口座を差し押さえても回収金額に到達しないと言う事も良くありますが、借入のある口座を差し押さえれば、金融機関側も債権があるので口座に金額があっても応じないのが普通です。
その代わり、口座は差押えによって凍結されておりますので、金融機関から融資先に差押えを早急に解除しないと融資を一括返済することになりますと脅しが入ります。
・・と申しますか、融資契約書を良く読んで頂ければ、差押えを受けた場合には契約の解除、つまり一括返済を要求できると書いてあると思います。
金融機関から一括返済になると言われた社長は、差押えを解除して欲しいと頼みに来るケースが多いので、その時に準消費貸借契約書で分割払いにするのが現実的だと言えるでしょう。
この差押えをメインバンクにやられてしまいますと、支援を受けられなくなりますので、大変厳しくなります。
そのような意味でも決算書を手に入れておいた方が、相手に致命傷を与えずに回収することがやりやすくなります。
決算書を入手できずにメインバンクの名前と支店名だけ聞いている場合は、メインバンクを差し押さえるしかありませんので、相手に致命傷を与えかねません。
それでも売掛金を差し押さえるよりダメージは少ないでしょう。
このような事を考えると与信管理として、取引先が支払えなくなった時に必要な情報を手に入れておくことは重要なことなのです。