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128.経営が苦しくなればなる程、書類が増える?

2021年4月23日

赤字が続き、現預金が減って、いよいよ資金繰りが詰まりそうだとなってから、金融機関に融資のお願いに手ぶらで行く経営者が沢山います。
手ぶらと言っても決算書や試算表ぐらいは要求されますので、その程度の資料で融資交渉していると言う意味です。
まず、理解して頂きたいのは決算書と試算表は、これまでの損益や資産状況を現したもので、将来の業績を予想したものではありません。
しかしながら、金融機関が赤字会社に融資をするとすれば、知りたい事は返済できるかどうかと言う将来の事になります。
将来、返済できるかどうかは、いつ赤字が黒字に転換して、どの程度の利益が見込めるのか、また、返済中に資金ショートは起こらないのかどうかを知らずに貸す事はできない訳です。
そこで必要になる資料が損益計画書(PL)と資金繰り表です。
月次の損益計画書には、何月から赤字が黒字になるのかとか年間で幾ら儲かるのかと言う将来の予測が書いてある資料です。
一方、資金繰り表と言うのは、現預金の出入だけで構成されており、現預金が足りなくなって資金ショートする月がないかどうかの予測資料になります。
少なくともこれら2つの資料を提出するのとしないのでは、金融機関の対応はかなり違ってくると思います。
更に、ただの赤字ではなく、例えば債務超過であれば、再生計画書などで債務超過を解消する方法と時期についての資料も必要になるでしょう。
何も資料を出さなければ、債務超過の会社には融資できませんので、断るしかないのです。
再生計画書があれば、何年で債務超過が解消できるので、軽微であり返済に大きな支障がないと分れば、金融機関側も融資を検討する可能性が出てきます。
これらを売上が上がると言うだけの説明を口頭で力説する社長がいますが、金融機関が知りたいのは利益と資金繰りであり、それらを上司や本部に稟議を上げて審査を受けるためには、紙の資料を添付する必要があるのです。
口頭で説明しても言った言わないの世界ですから、客観的な資料になり得ません。また、社長に会わない上司や本部の人間には伝わりません。
つまり、業績が悪くなればなるほど、多くの資料を作成しないと返済できるかどうかを理解してもらえませんので、融資が下りない事になる訳です。
今までのように、資産超過状態かつ黒字であれば、決算書と試算表だけで融資が受けられた事もあると思います。
また、赤字であっても一過性のものであったり、今回のコロナ融資のような政策的な融資であれば、簡単な資料で融資が下りる事はあります。
しかしながら、基本的には業績が落ちた場合には、返済出来ると言う将来の計画書等の資料がないと融資の可否を審査する土台にすら乗らない事が多いのです。
つまり、日本政策金融公庫や信用保証協会などの政府系であっても、返済出来るかどうかわからない会社には断るしかないと言うことなのです。



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