92.決算処理の考え方一つで会社が発展する?
2020年6月27日
多くの会社が決算を終了したと思います。
会社に取って決算は大変重要なものです。
決算の内容次第で、融資がどれぐらい受けられるのか、或いは受けられなくなるのかが決まります。
私は何百社もの決算書を見て来ましたが、その会社の実力を正直に表したものを見たことがありません。
多くの中小企業は、利益が出れば節税と称して利益を削ろうとします。
例えば、3月決算の会社であれば、4月分の家賃や人件費を3月に計上して経費を増やして利益を削ると言う良く使われる手があります。
しかしながら、3月決算の会社に4月分の経費を計上してしまえば、会社の本当の収益力が分からなくなってしまいます。
しかも1000万円あった利益が500万円に減れば、確かに税金も350万円が175万円(実行税率35%で計算)に減る事になりますが、会社へ残るお金も650万円が325万円に減る事になります。
更に言えば、利益が1000万円なら1億円まで借りられるものが500万円なら5000万円までしか借りられないとすればどうでしょうか?
金融機関には債務償還年数と言う指標も融資に影響します。
つまり10年以内に返済できるのであれば、正常債権ですがそれ以上返済年数が掛ると不良債権予備軍などと線引きされるラインがあるのです。
税金を175万円程度節約して融資枠が5000万円減ると承知の上で節税されているのでしょうか?
通常の商売の粗利が3割とすれば、節税を止めて5000万円多く借りて商品を仕入れて売れば1500万円の粗利が稼げる計算になります。
それよりも175万円の税金を節約する方が会社が得をすると考えているのでしょうか?
多くの経営者は、単純に支払いは税金であっても少ない方が得だと考えていると思います。
しかし、実際には大損をしているのです。
しかも、自分の会社の本当の実力が解りませんので、どこまで投資しても良いのかも解りません。
利益を削る節税を行えば、決算書は経営判断を行う資料と言う機能も失われてしまうのです。