62.年商2億円からの具体的な財務強化とは?
2019年11月2日
年商2億円と言う経験上の数字を書いていますが、本当は年商に関係なく政府系制度の無担保融資枠の1億円を使い果たせば、次はハードルの高いプロパー融資しかないと言う事です。
そのことを意識して経営している経営者は非常に少ないので、財務強化をして備える方は殆どいません。
たまたま、業績が良くて銀行からプロパー融資の提案があり、それに救われたラッキーな経営者もいますが、それは経営ではなく運が良かっただけと言えます。
少なくとも政府系の無担保枠の残りが少なくなり、年商も2億円前後になれば、経理だけでは経営はできません。
何故なら、年商数千万円の時に比べると、遥かに大きな金額をハードルの高いプロパー融資で調達しなければならないからです。
ですから財務改善又は強化を含めて財務戦略なるものが必要になって来ます。
何故、今まで通り経理だけでは駄目なのかと言いますと、経理と財務は目指す方向が違うからです。
その一つに、経理を担う税理士事務所の多くは節税思考と言う事があります。
しかしながら、ハードルの高いプロパー融資を受けるには、それを返済する原資となる多くの利益が必要になります。
ですから、まずは節税を止めて利益を出し税金を払う決断をする事が重要です。
更に財務強化のためには、資本政策も考えなければなりませんが、経理にそれを求めるのは無理があります。
更に言えば決算書の貸借対照表(BS)にある融資に不利な部分は全て時間を掛けてでも有利に修正して行く必要があるのですが、これも経理を担う税理士事務所の仕事ではありません。
例えば、資産の中で帳簿価格より時価の方が低い物があれば、BSから外し時価に影響されないようにしたり、貸付金や仮払金などがあれば清算するスキームを組んだりするのも経理ではなく財務の仕事です。
更には、社債発行基準にどのようにして到達すべきかを計画する事も財務の仕事です。
年商2億円から5億円を目指し10億円を目指すとなれば、それだけ大きな資金が必要になります。
ですから借換えを続ければ、資本のように返済が必要のない社債のような使い勝手の良い資金調達手段を使えるかどうかが重要になってきます。
これらの財務戦略は、どんなに優秀な税理士事務所でも絶対にできません。
能力や分野の違いだけではなく、どちらの仕事も兼任できるほど、短時間で出来る仕事ではないからです。
上場企業が経理部の他に財務部を置いているのを見れば、仕事の領域が似ているようで全く別物であり、兼任できない事が解ると思います。
要するに、財務基盤の弱い中小企業のために用意された政府系の無担保枠を使い果たせば、一人前の企業としてプロパー融資を受け続けられるように財務基盤を強化する必要があると言うことなのです。
今までと同じ考えで経営していると、必ず銀行の保全カバー率等の財務基準の網に掛り、融資が止まる事になると思います。