38.資金調達の仕方が悪いと倒産する?
2019年5月12日
資金調達は借りられればOKと言う訳には行きません。
借方を間違えれば倒産してしまいます。
良く幾らまで借りられますかと聞かれる事があります。
これは同じ企業でもどこで営業しているかとか、どの金融機関と付合っているかとか、既存の借入残が幾らあり何処からどのような借り方をしているかで、全然違いますので、何とも言えないのです。
例えば東京都であれば、付合う金融機関をうまくチョイスするだけで、信用保証協会とは別に最大3500万円の保証枠を確保できたりします。
しかしながら、このような制度を上手く利用するためには、1年掛けて準備しなければならない事もあります。
しかしながら、相談を受ける経営者で1年先の資金調達を頼まれる事は皆無です。
殆どが今月中とか来月中と言う相談ばかりです。
酷い場合には明後日までとか来週までとか殆ど時間がありません。
時間が無ければ、正当な銀行融資とかは間に合いませんので、審査の早いノンバンクのABLやファクタリングに走ってしまいます。
これで1000万円借りられれば、ホッとして間に合って良かったで終わりです。
しかし、これは非常に危険な行為で、直ぐに銀行から借りて返済すべきなのです。
良く銀行が貸してくれないから仕方がなかったとサラッと言う経営者がいますが、銀行が貸してくれないと言う時点でこれは大変だ倒産するかも知れないと思わないのか不思議でなりません。
銀行が貸してくれないと言うのは根本的な問題があり素人では手に負えない状態にあるのです。
その状態でネットを駆使してノンバンクを見つけて借りたり、個人のカードローンを枠一杯まで借りたりして取り返しのつかない状態に自ら追い込んでいる事に気が付いていません。
それも単純に運転資金が足りないから借りたと言うだけで、借りたお金で決算書のどの部分を修正するために使うかと言う戦略も何も全くありません。
例えば、銀行の貸さない理由が役員貸付金1000万円であるのにノンバンクからABLを使って高い金利で会社で借りて、それでも足りなくなって個人のカードローンで更に1000万円借りてしまって、どうにもならなくなって相談に来る方がいます。
これは全く逆で、最初に個人のカードローンで1000万円を借りて役員貸付金の1000万円を返済すれば、後は銀行から借りられる訳です。
そうすれば、ノンバンクからABLで借りる必要がない訳です。
それを先にノンバンクのABLを会社で借りてしまえば、決算書にノンバンクの名前が出てしまい役員貸付金を返済しても、新たに借りられない理由を作ってしまうからです。
このような事を防ぐには、まず銀行から借りられなくなった時点で、何故借りられないのか理由を理解できる財務分析力がなければ解決できません。
原因が解っていれば、それを解消するためにどのような事をすれば良いかが解りますから、ノンバンクを利用するにしても利用の仕方を間違える事はありません。
何故、銀行融資が受けられないのか解らないのに、何でも良いから借りたいとネット検索して手当たり次第借りてしまうと結局借り方を間違えてしまい、打つ手が無い手遅れ状態になってしまいます。
銀行から融資を受けられないと言う時点で、早めに専門家に相談する事が重要です。
時間があればあるほど有利な調達方法が取れますが、時間がなければないほど不利な調達方法になってしまいます。
銀行から借りられないだけで十分危ない状態と言えるのに、素人判断で更に不利な借り方をすれば一時を凌いだだけで、次は倒産が待っています。
お金が無いから専門家に払う報酬が勿体ないと考え、ネットでただ貸してくれるノンバンクを探して借りれれば何でも良いと借りてしまって、どうにもならなくなってから相談に来る人が多く、もう少し早ければ助ける事が出来たのにと悔しい思いをしています。
決算書の見方を知らずに