27.何とかなるは、何ともならない入口に?
2019年2月17日
年商3億円、借入残8000万円、リスケ中、7000万円の債務超過、短期借入の5000万円の返済が目前、何とかなりませんか?・・・と言うような相談が沢山来ます。
このような状況まで放置されれば、プロでも何ともなりません。
せめて、短期借入の5000万円の返済期限にかなり余裕があり、仕入先等に対して少人数私募債の引受けが有効な関係性が強ければ、何とかなるかも知れません。
このような状態まで放置する経営者は結構います。
本来であれば、債務超過に陥った時点で専門家に相談すべきです。
或いは、せめてリスケジュールをしなければ資金繰りが回らないと分かった時点で相談すべきです。
例えば、今期300万円の債務超過になりそうだと思ったら、来期頑張って取り戻そうと思うだけで放置する方が多いと言えます。
しかしながら、放置すれば今期の決算書は債務超過で、基本的には来期の借入が非常に厳しくなります。
来期は融資を受けずに税引後利益300万円以上を出せる勝算が本当にあるのでしょうか?
このような場面で多くの経営者は先を予測する事を避けてしまい「何とかなる?」と根拠のない結論を出してしまうので、助からない処まで行ってしまいます。
まして数千万円の債務超過になると分かれば、素人ではどうしようもありません。
それで決算すれば、来期どころか債務超過を解消できるまで何年も融資を受けられません。
それでも「何とかなる?」と思って資金繰りに詰まるまで放置して初めて相談に来られる方が絶えません。
中小企業の経営者の多くの方が、財務に興味がありませんし、お金を掛けようとも思っていません。
しかしながら、経理には多くの経営者がお金を払っています。
税理士事務所に決算書(申告書)を作成してもらうのは、経営者ではその実務ができないから仕方がないと考えているからでしょう。
しかしながら、決算書(申告書)を作成しても、払うべき税金が決まるだけで、融資が受けられる決算書になるとは限りません。
むしろ気を効かしたつもりで勝手に節税して、利益が減って借入過多に陥って全く借りられない決算書を作成して倒産に追い込んでくる税理士事務所も良く見ます。
勿論、税理士事務所に悪意がある訳ではなく、良かれと思ってやっているのです。
仮に業績が良くて融資が受けられたとしても、もっと有利な当座貸越や短期継続融資など上手く使えば元金の返済が不要な融資や社債の発行が出来るような決算書を目指して作成してくれる訳ではありません。
それは経理の仕事ではなく、財務の仕事だからです。
会社を長年継続したり、大きく成長させるには、必要な時に有利な条件で融資が受けられるかどうかが大変重要になります。
そのような経営に重要な財務に、いくら投資されていますか?
支払うだけの税金の計算のためには費用は掛けても、いつでも融資を受けられるようにするためには費用を掛けないと言う考え方が、「何とかなる?」に繋がっているのではないでしょうか?
経営者の多くが、銀行と交渉して融資を受けた経験があれば、例えそれが信用保証協会付の融資であっても日本政策金融公庫のような国の金融機関で中小企業にやさしく実力が無くても貸してくれる事を忘れて、融資の受け方を会得していると勘違いしている事に気が付いていないことも、「なんとかなる?」を増長させる原因の一つだと言えると思います。
ただ借りられれば良いで借り続ければ、いずれ借りられなくなります。
それ程、融資とは奧が深いものです。