14.黒字にしたから借りられない?
2018年10月24日
融資を受けるには、何が何でも黒字にしなければならないと単純に思い込んでいる方が結構います。
赤字のままなら借りられたのに無理に黒字にしたために借りられなくなった方を時々見かけます。
そんな事あるのかと思われるかも知れませんが良くあるのです。
例えば、役員報酬800万円の社長が、黒字にするために役員報酬を200万円に下げてしまうようなケースです。
そうしますと、経費が600万円も下がりますから、黒字にできると思う訳です。
それで、年収200万円で本当に生活できるのであれば、本当の黒字化と言えます。
しかしながら、多くは生活レベルを落としませんから生活費が足りなくなります。
足りなくなれば、仕方なく会社から借りると言う事を繰り返してしまいます。
それでも最初の一年目は300万円~400万円ていどの借入で済んだため、融資を申し込んだら保証協会付ならと融資が下りるケースが多いのです。
しかしながら、これを2年~3年も繰り返していると、社長への貸付金又は仮払金などが500万円を超えたあたりから融資できない金融機関が現れ、1000万円前後まで膨らんでくると急にどの金融機関からも融資が受けられなくなる事があります。
金融機関に相談すれば、仮払金や貸付金を清算して下さいと言われますが、1000万円にもなると簡単には行きません。
大体年収を下げてしまえば、個人で借入を起こして返済しようと考えても少額しか借りられませんから、やはり返済はできません。
ですから、このように役員報酬を減らして黒字化して生活費が足りずに会社から借りるぐらいなら、役員報酬は生活できるギリギリの線までしか下げずに赤字のまま決算をする方が良いと言えます。
赤字の決算書に経営改善計画書を付けて融資を申し込む方が遥かに借りやすいと言えます。
それでも既に貸付金が1000万円もと言う方は、一挙に解決する方法はあります。
過去に良く使われていた保険を使ったスキームではありませんので、念のため・・・。
保険業法の運営の見直しがあってから使えなくなりました。
新たな解決スキームは、個別に決算書を拝見しないと分かりませんが、簡単なスキームで解決するケースと複雑なスキームを組まなければならないケースがあるからです。
ザックリとした統計ですが、倒産会社の4割が黒字倒産です。
融資を受けたいがために安易な黒字化に走れば融資が受けられずに倒産に近づいて行きます。
逆に赤字でも原因を探り経営を改善する計画を立てた方が融資が下りるのが現実です。
ただ勿論、経営改善計画を立てれば絶対に貸してくれる訳でもありませんし、多額な金額を融資してくれる訳でもありません。
経営改善計画は、通常の事業計画よりも遥かに難しいと言えます。
金融機関が納得する経営改善計画を書くには、それなりの知識と何よりも経営者の覚悟が重要になります。
それは基本が売上アップではなく経費削減による計画の方が理解されやすいからです。
しかしながら、企業にはそれぞれの事情があり、今経費の削減に走ったら折角育って来た事業が駄目になり振出しに戻り兼ねないケースもあるからです。
そのようなケースでは、赤字にせずに黒字化して貸付金や仮払金を一気に整理して、成長資金を調達する方が、結果としてうまく行く場合もあります。